映画
カインの末裔
Movie Information
作品名 | カインの末裔 |
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監督 | 奥 秀太郎 |
出演 | 渡辺 一志 / 田口 トモロヲ / 古田 新太 / 内田 春菊 / 楊 サチエ / 岸建 太朗 / 飯田 孝男 / 今奈良 孝行 |
スタッフ | 製作:M6 TRANCE PICTURE WORKS / 配給:NEGA |
作品公式サイト | - |
グッズ・DVD販売 | N.D.W Online |
Story
舞台は、戦後日本の経済成長を象徴する工業都市・川崎。医療少年院で孤独な10年間を過ごした棟方(渡辺一志)は、貨物列車で石灰石が運び込まれるように電子部品を組み立てる小さな工場へたどり着く。牧師の松村(田口トモロヲ)、従業員の毛(古田新太)、下請け工場主の妻(内田春菊)、松村の娘ゆかり(楊サチエ)、善良そうな人間に潜む醜さや当たり前の日常を支える不条理が次々と浮き彫りになっていく中、テレビリモコン型改造拳銃の製造という秘密の仕事を命じられた棟方。彼によって生み落とされたピストルは、この町の歯車を狂わせていく……。どれだけ償えば青い空を見ることができるのか。内に秘めたエネルギーをどこにも向けることができない棟方の絶望が、灰色の空の下をさすらう。
Commentary
奥秀太郎は、人間が堕ちた状態について独自の観念を持ち、映像の中で人生の汚れた部分をぐさりと突きつける。映画全体を通しての教訓があるにしろないにしろ、グロテスクなユーモアとダークな幻想が描かれているのは確かだ。妄想が異形の怪物を生み出す様は、デビット・リンチの『イレイザーヘッド』を彷彿させる。奥のつくりだすビジュアルは素晴らしい。そしてさらに怖いもの知らずで大胆な俳優陣がより映画を刺激的なものにしている。渡辺(彼自身も優れた監督であり脚本家)が作品の核となっている。
トニー・レインズ(映画評論家)